ファンド

投資事業有限責任組合(ファンド)について

投資家から資金を調達して投資を行い、分配をすることを事業とするには、投資事業有限責任組合(LPS:Investment Limited Partnership )という仕組みは非常に良くできたシステムです。

どのようなケースにおいて、投資事業有限責任組合という組織形態を選ぶことが適切なのでしょうか。

柔軟性

投資事業有限責任組合では、法律や公序良俗に反しなければ、原則自由に契約を決めることができます。投資家の合意のもと、様々な投資が可能で、管理報酬や成功報酬の設定も自由です。

設立にあたっての費用も安く、短期間で設立することが可能です。

資金調達の機動性

おそらく、この点が一番かと思います。

投資事業有限責任組合においては、LPA(Limited Partnership Agreement)と呼ばれる投資事業有限責任組合契約を運営者(GP:General Partner)と出資者 (LP:Limited Partner) の間でを締結します。

GPはファンドの運営者として有望な投資先を探してきて、投資を実行、対価として管理報酬や成功報酬を受け取ります。LPは出資者としてファンドに運用益が出たときに配当を得ます。

このLPAの中で出資約束金額と呼ばれる出資の上限を決めると、出資者はキャピタル・コールと呼ばれる出資の依頼があると決められた期限内にファンドに出資しなければなりません。(キャピタル・コール方式)

これが株式会社の増資の場合と比較してどうでしょう。せっかく投資のチャンスがあるのに、まずは社内の取締役会に諮り、増資の意思決定をする。各出資者側でも出資してよいかどうかを各取締役会等で意思決定をする。。どうしても時間がかかってしまいます。

では、必要な資金をあらかじめ入れておけばいいじゃないか、ということになるかも知れませんが、いつ訪れるかわからない投資の機会まで貴重な多額の資金を寝かせておくことは許されません。

投資事業有限責任組合においては、GPに運営能力があり、預けた資金を数年後には増やして返してくるれるに違いない、とLPに思ってもらえれば、GP内での意思決定で投資を機動的に行うことができるのです。

また、LPは有限責任なので、リスクは出資額に限定され、資金の調達がしやすくなるメリットもあります。

パススルー課税

投資事業有限責任組合自体には、課税されず、その構成員に帰属するものとして課税する方式です。一つの収益が複数の段階を経て構成員に至る場合、途中段階では課税されず、構成員でのみ課税されることになるため、二重課税が回避できるのです。

これが株式会社であれば、株式会社自体の利益にまずは法人税等が課せられ、残った利益から配当し、配当を受けた株主の所得に対して課税されてしまうのです。

パススルー課税は、投資事業有限責任組合(LPS)以外でも、有限責任組合(LLP)や任意組合等民法上の特例とされています。

匿名組合においては、パススルー課税は採用されませんが、営業者から匿名組合員に対して分配した利益もしくは損失は、営業者の課税所得の計算上、損金もしくは益金として参入することが認められてるため、実質的にはパススルーと同じメリットが得られます。

その他、株式会社においても、二重課税回避のための受取配当金の益金不算入制度等はありますが、保有割合によって部分的となります。

決算報告と法定監査の必要性

LPがGPに預けた資金をしっかりとLPと約束した事業目的に使用しているかどうか、 投資の状況は現在どうなっており、回収に懸念はないかどうか、 どのようにしてチェックするのでしょうか。

GPは四半期や半期ごと、年度ごとなどLPのニーズに対応したタイミングで決算書や投資の状況を報告します。

ただし、GPが虚偽の報告をしたりできないように、監査法人等の監査を必須としています。

決算の中でいちばん重要なのは投資の評価の部分です。多額の資金を投下して投資したものの、想定したとおりに投資先の業況がよいかどうか、が一番気になるところだからです。

なかなか大変なのは、ファンドはLPAで合意した評価方針で評価すれば良いですが、LPによっては、うちはIFRSで評価し直した決算書がほしい、うちはUSGAAPで、といったような個別のニーズがありうることです。公正価値の評価を行ったり、場合によっては投資先の決算書そのものを提供する必要が出てきたりということも有りえます。

各LPはそれぞれの出資割合ごとに各決算書を取り込むことになるので、重要性にもよりますが、ファンドが連結や持分法の対象となる場合もあり、より詳細な情報提供が必要になるケースもあるということです。

最近の動向

最近の動向としてGPを有限責任事業組合(LLP)とするケースが増えています。

GPが成功報酬ではなく、組合持分に基づく分配として運用利益を受領すると、以下のようなメリットが有ります。

  • 分配としての成功報酬は消費税の課税対象とならない
  • GPに個人が含まれる場合に成功報酬に申告分離課税による一律の税率が適用され、累進課税による税率が適用されない。
  • LPSのGPとしてLLPは無限責任を負うが、LLPの投資メンバーの有限責任性を確保できる。

その他

金融商品取引法等に基づき、投資家の保護ルールや、ファンド事業の登録・届出制度に従う必要があります。

-ファンド

Copyright© 扇澤公認会計士・税理士事務所 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.